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矢野顕子、忌野清志郎を歌う/矢野顕子 [勝手にディスクレビュー]

久しぶりに「勝手にディスクレビュー」をしようかな。
と思いたい1枚を聞いたもので。

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矢野顕子 「矢野顕子、忌野清志郎を歌う」
2013年2月6日発売
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忌野清志郎の曲を10曲。
本人の弾き語りで8曲と、エレクトロニカ的なアレンジで2曲。
さらに、矢野さんの『ひとつだけ』をデュエットしたものが最後に加わっての全11曲。

ぼくはRCもそんなにどっぷり聞いてなかったし、解散後のいろんなユニットとかソロのアルバムとかも、
しっかりと聞いたわけではなくて。
ただ、毛嫌いして聞かなかったわけでもないし、それなりに耳に入ってくるものは聞いてたし。
でも、やっぱり知ってる曲は決して多くはない。

多分、そういうぼくみたいな人と、ずっとずっと清志郎さんを好きで聞いてた人とでは、
このアルバムの聞き方も印象も、全く違うものなんだろうなあ、と思う。

矢野さんの弾き語りによるカバーの特徴でもあるんだけど、
楽曲の芯がものすごくあらわにされるでしょ、この人の歌とアレンジは。
そういう点でも、間違いなく「作家:忌野清志郎」に焦点を当てることになってるんだよね。
だから、ぼくなんかは「いい歌だなあ」と単純に思うだけだけど、
清志郎さんの歌が好きな人にとっては「いや、これはこういう歌じゃない」と思う人もいるかもしれないし、
逆に好きな人だからこそ「よくぞ、この部分を表に出してくれた」と言う人もいるかもしれない。
(ちなみに、ぼくは矢野さん弾き語りのSMAPの『しようよ』をライブで聞いた時に「この歌はこんなにすごい歌だったのか!」と気がついたことがあった。)

今回のアルバムの中でぼくが知ってたのは3曲だけ。
そのうち2曲はバンドアレンジされたもので。やっぱり知られた曲は、わかりやすい弾き語りよりも、ということだったのかな?
1曲目の『500マイル』はほぼフリージャズで、アルバムの入口をすんなり通してはくれない設計。
『デイ・ドリーム・ビリーバー』は弾き語りだけど、サビが来るまで、いや、サビが来ててもそれと気がつかないかもしれないほどの換骨奪胎具合で、早くも真骨頂、という感じ。
『多摩蘭坂』は、オンド・マルトノがころころと響く、イメージ的にはドイツ歌曲のような仕上がり。原曲や、弾き語りならこうくるだろうな、というイメージから全く想像着かないアレンジになってて、アルバムの折り返し担ってる感じだね。

それ以外の曲は原曲を知らないので、それとの比較はできないんだけど、
単純に、いい曲が並んでるなあ、とね。
『雑踏』の「会いたい人がいるんだ」の切ない感じだったりとか、後半の『約束』『恩赦』『セラピー』というならびにグッとつかまれてしまって。
『約束』の「また今度会いたいね」とか、『セラピー』の「そんなに心配するなよ」って言葉が何とも言えない思いにさせられる。

で、そんな気持ちにさせられたところで、矢野さんと清志郎さんのデュエットで『ひとつだけ』が全部を包んでくれちゃって。
最初にアルバム通して聞いた時に、『ひとつだけ』の1コーラス終わった辺りでわけもわからず涙が込み上げて来て、ぼろぼろ泣いてしまった。
1曲1曲を聞いてももちろんすごいんだけど、1枚通して聞くことでその力にひれ伏すしかない、というか。
天才2人にしてやられた。

ご本人が言ってたように
「ぜひ聞いてほしい。そしてこれを聞いた後に、原曲をぜひ聴いてほしい。」という通り、これは原曲もきちんと聴かなきゃいけないな、と思った。

このアルバムを、キヨシローファンはどう聞いたか、聞いてみたいね。

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レコード会社の、このアルバムのトレーラーがYouTubeに上がってるので貼っておきますね。
気になった人はぜひ聞いてみるべきだと思います。


おまけだけど、先日のFMの美雨ちゃんの番組に出演したときの音声があがってたので、これも聞いて見るとおもしろいかも。
完全に矢野さんがお母さんの声になってる。
そして、美雨ちゃんにとって「お父さんとキスした人」という認識。

今回のアルバム。
タイトルが「トリビュート」とか大げさなものじゃなくて「忌野清志郎を歌う」という、その事実だけをタイトルにしてるのが、いちばん感慨深かったりするね。

JOIA/相田翔子 [勝手にディスクレビュー]

久しぶりのこのコーナー。
今日は「夏に聞きたくなるこの1枚」てことで。

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相田翔子 「JOIA」
1996年5月25日発売
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WINKの翔子ちゃんですね。今はすっかりバラエティに出たり司会やったり女優してたりとTVの人として確立してるけど、これはWINK休止に入ってわりと直後にでたもの。
インスト1曲を含む10曲全曲を本人が作曲、作詞も共作含めて7曲自分で書いてるもので、全編ボサノバ。歌詞には英語はでて来なくて、その分ポルトガル語がそこかしこ。ブックレットの写真はすべて人魚の如く水中を泳いでる写真で。CDケースも青いケースで完全に夏仕様。
WINKも休止前後はあまりめだってメディアに出てなかったこともあるし、発売自体はあまり大々的な告知があった記憶はないんだよね。ただ、音楽好きに向けたアピールだけは感じたかな。
アルバムからの先行シングルとして『i Julia』がタワーレコードのインディーズレーベル「bounce records」から発売された、っていうのも、音楽志向の強さを感じるところね。アルバム自体はWINKと同じポリスターから。収録曲中4曲をセルジオ・メンデスがプロデュースしてる、てのもその筋では話題になったかな。

で、これがねえ、いいアルバムなんですよ。当時は完全にアーティスト活動に専念するつもりだった彼女のさらりとした意気込みを感じつつ、その歌い方も含めて耳心地がよくて。
全体的にさらっと流せちゃうようにも聞けるけど、メロディの運び方なんかも結構ツボを押さえてるし、ねらいすぎず、しかしフックは耳に残る切なさを持ってたりして。特に先述の『i Julia』のメロディは好きですねえ。サビに向かってだんだん切なさを盛り上げて来て、ここぞというところで裏声に飛ばす辺りがね。グッとくるね。
他にも、いかにもなメロディで「どこかにあったよなぁ」と思わせながらも日本人好みなところにあらがえない『Vellrina』、表題曲の『Joia』も高音を多用したサビとボサコードがいい感じ。

WINK時代はともかく、彼女のソロの音楽活動はもう少し評価されてもいいと思うんだけどね。
まあ、今はすっかりタレントさんなわけだけど、またこんなアルバムを作ってほしいな、と密かに思ってるわけで。

ま、そんなわけで涼しげに、暑い夏にふと聞きたくなる1枚です。
みなさんも暑い日にはぜひお試しくださいませ。

a light , a life/池田綾子 [勝手にディスクレビュー]

珍しく、新譜を1枚紹介。
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池田綾子「a light , a life」
2009年11月25日発売
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先週発売されたばかりの、池田さん4枚目のアルバム。
ぼくがいろいろとお世話になってるTATOOさんがずっとプロデュースをしてる歌い手さんです。
実は池田さん、今年の5月に「オトムスビ」と言うアルバムを出したばかりで、わずか半年でのこのアルバムの登場なのね。
「オトムスビ」は、その前作「Lunar Soup」から3年半の間にシングルで出した曲やライブで歌って来た曲などを集めた、その時期の集大成的なアルバムだったのね。
対してこの「a light , a life」は、シングルで出した『星降る森』以外10曲を、この半年で一気に書き上げて作ったというもの。『星降る森』のイメージから派生した「祈り」がおそらくテーマになってる、半ばコンセプトアルバム的と取れなくもないかも。
音は
結構バラエティに富んでて、神話的な響きのする『星降る森』、非常にポップが炸裂する『幸せの種』(最近NHKでよく流れてる)、ENYA的重厚さで、ややクラシカルアプローチな『Light You Up』、ルードなギターポップと言う感じの『六番目の光』、スペイシーなギターサウンドの『境界線』など。いろんな池田さんが宿ってる。
個人的には、言葉がグッと来る『sora』、ハープ風の音色がちょっと御伽話へ誘う『祈りの歌』あたりが好きですねえ。ジャケットの写真もきれいでいいです。

池田さんの声は耳なじみがよく、すーっと入ってくる声なので、流してて邪魔になることがありません。しっかり聴こうとするとTATOOさんの細工がいろいろ聞こえて来てそれもおもしろいですし。

ぜひ聴いてみてくださいな。

『花の匂い』 [勝手にディスクレビュー]

久しぶりに新譜を買ったかな。
Mr.Children「SUPERMARKET FANTASY」ですね。
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ミスチルはもう、なんというかブランド名だよね。
「ミスチルのアルバム」ってだけで、だいたいのイメージはできるし、良質な音楽も保障されてる感じ。
ただそれだけに、ここ何枚のアルバムって、正直なところあんまり深く聴いてないんだよね。
買って、だーっと聞いて、「だよねえ」とか思いながら、そのまま。
なので、あんまり曲の細かい部分とかわからなかったり、曲名とか、どのアルバムに入ってたかとか、そういうところが希薄。
アルバムの出た順番さえ、あんまり覚えてないや。

まあ、それでも今回のアルバムは、ここ数枚のアルバムの中でも飛び抜けてカラフルでポップなアルバムだなあ、と思ったね。ミスチルのポップな部分を掬い出してる感じ。でなきゃ、このジャケットにはしなかっただろう、てのもあるし。
「Atomic Heart」の雰囲気に近いかもね。

そんなポップな曲の中にあって、アルバム最後に置かれた『花の匂い』ですよ。
これ、アルバム全体の流れから見たら、最後の2曲の『GIFT』『花の匂い』の順が逆である方が、アルバムとしての座りは圧倒的にいいと思うんだよね。多分、そう言う考えもあったとは思うんだ。
だけど、『花の匂い』の方が最後に据えられた。
そこを考えるに、『花の匂い』と言う曲が、ほかの曲に比べてもあまりに強い曲なんじゃないか、ってね。『GIFT』を持ってしても、この曲の後にはつなげられない、というか。
歌から発する力が、全く別次元になってる、というか。
言ってみれば、『花の匂い』はこのアルバムにおいてボーナストラック的意味合いなんじゃないか、とかね。

この曲。
初めてきちんと聴いたのがPVだったんだよね。あのアニメの映像に合わせて歌を聴いちゃったら、もうだめ。何度聴いても涙出そうですよ。
少し心が弱くなってるときなんかに見ちゃったらきっと号泣ですよ。

ちなみに今回初めてミスチルPV集のDVDつけてくれたけど、以前のものをまとめて出してくれないかなぁ。音楽系チャンネルで取ったもの編集して、とりあえず自分でPV集まとめてみたけど。
出たら絶対買うんだけどねえ。

POP! [勝手にディスクレビュー]

昨日買ってきたCD。新しく参加することになるバンドのリハを終えて、頭の中いっぱいで落ちついて聞けそうになかったもんで、今日になってから落ち着いて聞いた。

宇多田ヒカルの「HEART STATION」とキリンジの「7」。
宇多田ヒカルのアルバムは、前作の「ULTRA BLUE」の何倍かってくらいに聴きやすいアルバムだったね。非常にポップ。もはや2枚目の「DISTANCE」に匹敵するくらいのポップさだよ。1枚目の「First Love」はかなりR&B意識な作りだったでしょ。3枚目の「DEEP RIVER」はどことなく重苦しい雰囲気に包まれたもので。前作「ULTRA BLUE」は初めてのセルフプロデュースで、ギリギリの線で崩壊してる部分があったりしてわかりにくかったりしてね。今回は、自分が手がけながらポップなところにまとめられる器量が出来た、っていうと変だけど、そんなイメージだよね。個々の曲を見ると結構むちゃくちゃなことやってたりするんだけど、かなり聞きやすい。これはたくさん聞くアルバムになると思う。

で、キリンジ。
こちらはなんか寄せ集め的な感じが強いな。というのも、昨年の月1新曲配信で大半の曲は聴いてるからさ。「KIRINJI×DELFONICS」のシングル全部買ったし。なので、それらが並んでる、という感じ。流れ云々というよりそれらが一気に聞ける、というそんな感じだったな。もちろん、曲はそれぞれいいよ。流れに慣れてないだけ、というところ。
それにしても、キリンジの曲も質が下がらないよね。いちばん最近のシングル『朝焼けは雨のきざし』が非常に名曲。

そうそう、このキリンジのシングル『朝焼けは雨のきざし』といえば、カップリングに「10曲のライブ音源収録!」っていうとんでもないもので。トータル11曲まるまる収録で「シングル」しかも1050円。ライブ音源10曲って、れっきとしたライブアルバムになりうるでしょ。下手したら「ライブアルバム」って名目で10曲未満のアルバムあるよ。それをねえ。まちがってもエイベックスはしないよ、こんな暴挙。ライブアルバムに「初回特典 新曲1曲収録スペシャルディスク付き」かなんかという名前で3500円は取るね。

ちなみにもう1枚、坂本龍一のシングルも買ったわけで。こちらはピアノ曲3曲収録。思いのほかわかりやすい楽曲だったね。まあCM用の曲ってことだから、なんだろうけど。やっぱり好きですね、この人の音は。そんなことを思いながら、今日は自分で作った曲をたくさんピアノで弾いてましたよ。

財政厳しいけど、この辺は買わなくちゃ行けないCDだな、自分には。
相変わらず、聞かないCDはたくさん売りに出してます。

Cafe Bohemia/佐野元春 [勝手にディスクレビュー]

ぼくがいちばんよく聞いた佐野元春のアルバム、それがこれ。


佐野元春「Cafe Bohemia」
1986年12月1日発売

佐野元春を意識して聞き始めたのは小学校6年生の時。『Christmas Time in Blue』をラジオで聞いた時からだな。そこから興味を持ち始めてね。それ以前から名前は知ってたし、いとこのお兄さんとかお姉さんが聞いてるのも知ってたし、『Young Bloods』とかよく流れてたしね。でも、『Christmas Time in Blue』はなんだか、はまったのね。ラジオから録ったものをテープでよく聞いてた。
その後『STRANGE DAYS』『SEASON IN THE SUN』『WILD HEARTS』とシングルが立て続けに出て、ガツンと発売されたのがアルバム「Cafe Bohemia」。出たのが12月だったのね。そのすぐ後の正月に、父方の親戚が集まった時に、いとこのお姉さんのアナログLPからダビングしてもらったのをよく覚えてる。で、ほんとよく聞いてたね。
このアルバムからはその後さらに『99BLUES』『Indivisualists』の2曲が12インチシングルで発売されたんだよね。これはたしかレコード借りて来て聞いたなぁ。
収録曲ではやっぱり『Christmas Time in Blue』がいちばん好きかな?この曲は毎年クリスマスには欠かせない曲でね。必ず聞きますよ。あとは『WILD HEARTS』とか『月と専制君主』とかが好きかな。もちろん、アルバム全体的に好きだけど。
そう、このアルバムは、インスト/Interludeをのぞく9曲のうち、8曲がシングルなりそのカップリングに収録されてるっていうすごいアルバムなのね。最近の「シングル寄せ集め」的なアルバムの作り方がされない頃の話だから結構すごいことで。(まあ、前作「VISITORS」においては全8曲がシングル4枚に全部収録されたというとんでもない実績があるわけだけど)。
ちなみに、佐野元春は当時流行する前から12インチシングルをいち早く取り入れた人で、このアルバムからも4枚、前作からは2枚作ってるんだよね。はやり始めた後にはわりと粗悪な「イントロがただ長いだけ」とか「間奏がむやみに長い」なんていうものがたくさん出た中で、この人の12インチは実によく出来てたと思う。高校時代になってから中古屋さんで12インチを探して買い集めて、それだけを編集したものもよく聞いてたな。6枚全部持ってるのがちょっと自慢だった。なかなかCD化されなかったからね。

で、ここ数年で、アルバム「SOMEDAY」「VISITORS」が追加音源付きで20周年記念リマスター盤が出たもんだから、「これは絶対『Cafe Bohemia』も出るに違いない!」と、待ってたんだよね。ようやくその日が来ましたよ。
待望の12インチバージョン初CD化。さらにはシングルカップリングでアルバム未収録だったものとか、当時のコンピ盤のみ収録の曲とかそういったものをむちゃくちゃ詰め込んだ形で発売されることになったようで。ただ、7月にシングル集を出した手前なんだろうけど、それぞれの7インチのシングルバージョンの収録は見送られたみたいで。ていうか、それを全部収録するだけの時間の余裕がなかったんだろうなあ。2枚組がすでにぎちぎちになってるもんな。(しかし、「Electric Garden」は入れずに「Electric Garden #2」から収録てのも不思議だけど)。

ようやく12インチバージョンを手軽にいい音で聞ける日が来ます。12/6に発売になる「The Essential Cafe Bohemia」。買いでしょう。


特定の普遍性(KAN「遥かなるまわり道の向こうで」) [勝手にディスクレビュー]

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KANのニューアルバム「遥かなるまわり道の向こうで」を買ってきた。
で、この時間になってようやく聴いた。
使う言葉、使うコード、言葉の乗せ方、コードの動き方。もう端々にKANの特徴だらけでうれしくなっちゃう。そうそう、この空気感がKANのアルバムだよ。
内容はいつも通りで、「ぼくはあなたを愛しているのです」という真っ直ぐなラブソングと、どーにもならんようなしょーもない曲が混ざってる感じね。ビートルズの曲が混ざったような妙にミュージカルじみた曲があったり、誇張しすぎてる80年ファンクみたいなのがあったり。(前にやった『DISCO '80s』ともちょっと違う感じね)
イントロ聞いて思わず「お前はハマショーか!!」って突っ込んじゃった歌の中でほんとに「浜省の名曲がエンドレス」とか歌ってて。ちなみにその曲、間奏でサックスソロが割り込んでくるんだけど、その音を聞いて「もしや!」と思ってクレジット見たら山本拓夫だった。さらにその隣りを見たらこの曲のギター、町支寛二が弾いてるという気の遣いよう。Special Thanksに「浜田省吾さま」って書いてあったよ。まあ、この人その昔、完璧なまでの「槇原敬之コピー」をやってるからね。(気になる人は「KREMLIN MAN」というアルバムの『車は走る』を聞きなさい!)
ほかにもやはり以前の自身の楽曲『WHITE LINE』という、停止線オーバーでキップ切られて免停になるというハードロック調の曲(あ、これも「KREMLIN MAN」だ)の続編ともいうべき『RED FLAG』という、スピード出し過ぎでキップ切られるハードロック調の曲が入ってたりね。
そんな遊びを間に挟みつつ、まじめなラブソングも並ぶ、という。ちなみにシングルのカップリングになってた弾き語りの『アイ・ラブ・ユー』はバンドアレンジでちょっとだけJazzyな感じになってラストに収録。

これと言って目新しい何がある、というわけではないんだけど、とても安心する。ただ、今回は「どうにもこうにも名曲過ぎてたまらん!」て感じの曲が、今のところまだない感じ。とはいえ、この人の曲はあとからふとボディブロー喰らうようにガツンとやられたりするからね。そういう曲が潜んでいるかもしれない。

こうして聞いてみると、ぼくの作る曲は確実にこの人から影響を受けてる(特に言葉に関しては大きいかもね)と言えるけど、逆に「それだけではない」とも言えることがはっきりわかるね。
とりあえず、この人の作る誠実すぎるラブソングを、ぼくは書けません。


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「キッチン」オリジナルサウンドトラック [勝手にディスクレビュー]

さっき、久しぶりにふと聴きたくなってしまったアルバムを、せっかくなのでご紹介。

「キッチン」オリジナルサウンドトラック(音楽:野力奏一)
1989年11月1日発売

今回は珍しく映画のサントラ盤のご紹介。
これは89年公開の吉本ばなな原作:森田芳光監督の映画「キッチン」のサントラ盤。映画としては川原亜矢子のデビュー作としても有名なやつね。映画も結構好きな感じのものなんだけど、とにかくこの音楽が素晴らしくて。音楽を担当してる野力奏一さんてのはジャズのピアニストの方。この時期の森田監督作品では何作か音楽を担当してたみたい。映画音楽はこのあと、やはり森田監督の「(ハル)」を最後に担当してない様子。
もう、全体的に静かできれいなメロディの音楽でね。1つの楽曲に2パターンのアレンジがされてて、「白い夜(雄一)」「白い夜(みかげ)」と言った具合にタイトルが付けられてるのが半分。基本的にはピアノがメロディの主体になるものが多いけど、サックスだったりフルートだったりも出てくる。本当に落ち着きたい時に聴きたくなる音楽。中でも、「キッチン(満月)」はものすごく好きでね。シンセの打ち込みによる最小限のバックトラックに、ピアノの旋律とパッドのユニゾンでほぼ全編。コードもきれいでね。ピアノで弾いてみてもものすごく気持ちがいい。

ちなみに、さすがにサントラだけあって、芝居との相性は非常によいです。学生時代に音響を担当した芝居で「夢(おばあちゃん)」というものすごくものすごく優しい曲を、母娘の言い争いの場面で使ってどうにもならないような切なさを演出して大成功。
さらに、自分が初めて書いた芝居でも「北公園」という楽曲を使用。まさに夜中の公園というシーンで使ったのかな?

このサントラの中には実際の映画には使われなかった楽曲が1曲と、やはり本編では使用してないイメージソング、鈴木祥子の「ステイションワゴン」も収録。「ステイションワゴン」はいい歌だよね。ま、これはおまけ的に。

野力さんの映画音楽でサントラが発売されてるのはこれと「(ハル)」だけなんだよね。「(ハル)」は野力さんと佐橋俊彦さんという方で半分ずつなんだけど、これはこれで名盤です。やっぱり、よく聴くサントラの1つ。というか、映画が傑作なんで。

そうだ、このサントラ風の曲を作ってみよう。
・・・て、「(ハル)」見た時にそのイメージでピアノ曲1つ作ったことを思い出したよ。
改めて発案するまでもなく、やってるんだな、おれ。

そんなわけで、どこかで見かけたらぜひ聴いてみて下さいませ。


evergreen/MY LITTLE LOVER [勝手にディスクレビュー]

ほんとに久しぶりに、勝手にディスクレビュー。行ってみましょうか。

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MY LITTLE LOVER「evergreen」
1995年12月5日発売
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デビューシングルから立て続けに3枚ヒットを飛ばした後に満を持して発売された、という感じのMY LITTLE LOVERの1st。この発売と同時に、プロデューサーだった小林武史がメンバーになったんだよね。それまでもプロデューサーとしてたくさん音楽を作って来ただけあって、アルバム全体の作り方がものすごくうまいんだよね。1stにして最強のアルバム。(他のアルバムももちろん好きだけど)これは本当にいいアルバムだと思う。
まず「序章」的な『Magic Time』からスタート。この曲、おと数少なめな上に、あえて盛り上がりを外すように作ってあるんだよね。「サビ」ってものを作らずに、それがあるべき場所に印象的なイントロを繰り返し持ってくる、っていう構成。でもって、大サビを1つ作った後は半音転調してイントロを繰り返しながらカウントダウンして行く、っていうね。で、2曲目の『Free』のイントロから「さあ、幕開けです!」て感じに始まって行くという憎い演出。そこからは2ndシングル『白いカイト』ではじけて、『めぐり逢う世界』で前進していくイメージをもたせて、切なさいっぱいのシングル『Hello, Again』でA面終了といった感覚。B面に入るとまず「ザッツ小林武史」という具合の、ちょっと古いポップス風なところにきらびやかなストリングスを乗せてさらにワウギターをワカチコ言わせる極上ポップの『My Painting』、続いて静かにたんたんと時間が流れるだけ、というイメージの『暮れゆく街で』。そこから心持ちグルーヴィーなポップの『Delicacy』。そのエンディングから1st Singleの『Man & Woman』になだれ込み。最後は街から抜け出して大きく空に向かってひろがって行くような『evergreen』で大団円。
正直なこと言うと、AKKOのボーカルって決して「うまい」というわけではないと思うのね。だけど、ものすごく「声」がいいんだよね。押し付けがましくない、というか。それでいて埋もれない。小林武史の音楽に合う声なのか、もしくはこの声に合う音楽を作ってるのか、という見方もあるけど、とにかくこの音楽にはこの声が非常にあってるんだよね。それと、緻密なバックとその声というだけでは出来すぎちゃいそうなところにうまくよりながらも、嫌みなく主張する藤井謙二のギター。そのうまいバランスが「MY LITTLE LOVER」の気持ちいいところなんだろうな。

収録曲にほんとに捨て曲がないこのアルバムの中で、ぼくが一番好きなのは『暮れゆく街で』かな?無駄な音は鳴らさない、という中でずっとなり続くバスドラ、歌に静かに絡んでくるオーボエ、切ないながらどこか達観してるようなメロディ。好きですねえ。あとは『Delicacy』の跳ね具合とかも好きだな。言葉も全体的にいい感じでね。高飛車な女でなく、暑苦しい女じゃなく、でも内にこもるようなのでもなく、って感じの自然な感じのイメージで。

ま、とにかく聞いてていい気分になれるアルバムですね。それでいて全部聞くとどこか懐かしさがあったりするような感覚。

ちなみにこのアルバムの他でもMY LITTLE LOVERはかなり好きな曲がたくさんあるんだけど、中でもテクノなトラックにロックなギターが絡みまくる『private eyes』がむちゃくちゃ好き。この曲はPVも相当いいですね。さらに、この曲も入ってるアルバム「NEW ADVENTURE」からシングルカットならぬ「The Waters」という「アルバムカット?」をしちゃった『STARDUST』とかね。あとは今のところ一番新しいアルバム「FANTASY」に入ってる『サテライト』とかも好きですね。

まあ、小林武史の音、ってのが好きなわけですけど。


80年代アイドル歌謡曲名曲選 その1 [勝手にディスクレビュー]

先日ひらっと予告してみた「アイドル歌謡曲」の名曲をいくつかご紹介。
その前に、「松田聖子」「中森明菜」「斉藤由貴」に関しては既にこのくくりの外にあるものと見てるので含みません。「小泉今日子」もそうかな。途中からは。

○河合その子「青いスタスィオン」
 作詞:秋元康/作曲・編曲:後藤次利
サビのメロディの勝ち。それとイントロからのアコーディオンが利いてますね。最後のサビの繰り返しで終わると見せかけてBメロがいきなり切り込んできてそのままエンディングになるところがとても好きです。Bメロも好きだなこれ。後藤次利って、サビの後にそこからこぼれるような1フレーズおくのが特徴だよね。たまにまねしようと思う。

○河合その子「JESSY」
 作詞:川村真澄/作曲・編曲:後藤次利
最近聞き直して改めて「これ、好きかも」って思っちゃった1曲。この曲のすごいところはバックがずっと8分の3連で刻んでる「ボレロ的」リズムの上に、跳ねない8分のメロディが乗ってるところ。それが、サビでメロディの方が4分の3連で駆け上がっていったりしちゃうんだよね。でもって、サビの最後の半小節だけバックが3連じゃなくなるのね。すごいよこのアレンジ。
でもって、河合その子って実はかなり歌がうまい人なんだと思う。

○薬師丸ひろ子「Woman"Wの悲劇"より」
 作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂/編曲:松任谷正隆
これは当時から「きれいな曲だなあ」とすごく好きだった曲。今聞いても本当にいい曲だと思う。なんと言ってもサビ前に入る時の不思議な高揚感というか。その転調具合がきれいすぎ。ものすごい抽象的な言い方をするけど、鏡の角度を徐々に動かして行って、突然その反射でひかりが一気に飛び込んでくる、って感じ。2003年にユーミン本人がセルフカバーしたやつを聞いて、初めて「こんなにもユーミンなメロディだったか!」と再発見。ていうか、この製作陣で名曲になり得ないはずがないよな。全盛期の聖子ちゃん編成だもん。

○薬師丸ひろ子「胸の振子」
 作詞:伊達歩/作曲:玉置浩二/編曲:萩田光雄
なんなんでしょうかねえ、この曲の神々しさっていうのは。伊集院静の言葉もその一因ではあるんだろうけど。上り下がりの激しいAメロに対して、高いところで抑揚の少ないサビのメロディの対比も秘密があるのかな。サビの「千の剣だって私は受けるから」の「るから」の絶妙さとか。それ以前に3拍子であるというのも十分要素になってるな。イントロのオーケストラ(あえて「ストリングス」ではなく)もそうか。すべてが奇跡的に絡み合ってるというか。ま、とにかくこの曲を作った玉置浩二と恋に落ちるのもわかるってものよ。

○工藤静香「恋一夜」
 作詞:松井五郎/ 作曲・編曲:後藤次利
あ、また後藤次利だ。これは、なんだろうなあ。Bメロの後半の切羽詰まった感からサビに入るところとかいいよね。で、サビはいった瞬間「わからないわからない」って言葉とともにメロディがおちるんだよね。うまいなあ、これ。で、サビ後半のでまた盛り返しちゃうところとか。で、最後の後藤的な「なーぜー」でしょう。曲知ってる人にしか通じないなこれじゃ。

○少年隊「ABC」
 作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:船山基紀
当時の洋楽でこんな曲確実にあったよなあ、って感じの音なんだけどね。いわゆる「ディスコ」ではやってたでしょう系の。リック・アストリーとかの時代よ。でもって、松本隆の言葉もなんだかここでは馬鹿っぽくてね。「Angel Baby Cupid」はねえよな、とか思いながら、この曲はやっぱりうれしくなっちゃうよね。カラオケで歌っても確実に盛り上がるよこれ。ぼくは「仮面舞踏会」よりこっちを選ぶね。なんにしろ、洋楽の見事な歌謡曲化に関しては筒美京平にはかなわない。

○菊池桃子「Nile in Blue」
 作詞:売野雅勇/作曲:林 哲司/編曲:鷺巣詩郎
菊池桃子のシングルヒストリーの中でも一目でわかる変化を遂げた曲だよねこれ。なんでかなあ、と思ったら編曲がそれまでの林哲司本人から鷺巣さんになったのね。正確に言うと、このシングルの直前に出したアルバムにこういう音のしてる1曲があって。「Yokohama City of Lights」っていう。それをラジオで聞いた時に「こういう曲シングルにすればいいのに」って思った記憶があって。それで出て来たのがこれだから、うれしかったね。ビョンビョン言っちゃうくらいのベースと黒人的コーラスと。この2枚後のシングルが有名な「愛は心の仕事です」になるわけなんだけど。音としてみれば、既にこの時点から「ラ・ムー」仕様なんだよね。だから、わざわざあそこで「ロックをやります」なんて宣言しなくてもよかったのに。しかも、どう聞いてもロックじゃないし。あれも、色目を外して聞けばなかなかいい歌ですよ。でも、ぼくはこの歌の方が好き。「Yokohama City of Lights」の方が好きだけど。

○中山美穂「CATCH ME」
 作詞・作曲・編曲:角松敏生
ま、何がどうと言うより、角松ですから。イントロからエンディングまで気持ちよさがずっと続くわけで。メロディ、コード使い、リズム。ま、角松ですから。ちなみにこの曲が収録されてるアルバム「CATCH THE NITE」は全面角松プロデュースで、名盤です。

そろそろこの辺にしておくかな。
こういうこと書くと「おたくっぽい」って思われるんだろうなあ、きっと。単純に歌謡曲好き、ってことなんだけど。いわゆる「アーティスト系」でも多分同じくらい語れますよ。
ま、この歌謡曲名曲選。そのうちまた書きますね。

ちなみに、詳しくは書かなかったけど、名曲だと思う曲を適当に羅列。
○河合奈保子「Through The Window」○堀ちえみ「夢千秒」○C-C-B「Lucky Chanceをもう一度」○本田美奈子「Temptation-誘惑-」○松本伊代「月下美人」○南野陽子「接近-アプローチ-」○石川秀美「めざめ」○高井麻己子「テンダー・レイン」

きりがなくなるな。

「おれはあの曲が好きだ」「私はあの曲が好きよ」というご意見があればコメントにください。いくらでもどうぞ。(ていうか、あるでしょみんな)


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