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drawing/キタムラナオコ [勝手にディスクレビュー]

久しぶりのディスクレビュー。
まあ、ある意味”身内”とも言える、キタムラナオコの新譜のご紹介です。

web用表紙絵.jpeg
キタムラナオコ 「drawing」
2021年2月12日発売

1. Space and I
2. ビールと君 (deeppink #ff1493)
3. #00ffff
4. ぽつねん
5. So Far Away

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今回のアルバム製作のいきさつについては、その発端となった坪井洋くんのラジオ番組に、ナオさんが出演したときに話をしてるので、お時間あればそちらを聞いてみてください
お時間ない方のために軽く説明すると、
レーベルを立ち上げてる坪井くんが知り合い筋からキタムラナオコの歌を聞き、
「アルバムを作りませんか?」とアプローチ。
そしてナオさん、試行錯誤を繰り返していたオリジナル曲の製作をがんばり、
3曲形にして、ライブでやりながら形を整え、録音にのぞんだ、という。
ちなみに一昨年12月のナオさんとぼくとのライブにおいて、
彼女の作詞作曲による楽曲は、すべてぼく一度弾いております。
(お、なんかこいつアピールしてるぞ!)

今回の録音では、新進気鋭のジャズピアニスト、高橋佑成くんを迎えてのデュオをメインに。
1曲だけ、ドラマーとして坪井くんも参加してるという、シンプルな編成。
2年くらい前に、このトリオでやったライブを聞きに行ったことがあるのだけど、
ゆうせい君のピアノは実に絶妙で、彼女の声にもよくあった音使いをされてて好印象。
おまけにぼくの大学の後輩でもあることがわかったりもして。(相当年下になるけど)。
それもあって、アルバムではどんな音になるんだろう、と楽しみにしてた。

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まず単純に、いいアルバムだなぁ、と思った。
どの曲も、絵と匂いを感じられる。
ちゃんと「歌」を歌ってきた人の音楽。
表面上、歌ってるように”なぞってる”人とは違う、という意味で。
そういう人が作った楽曲、を、きちんと歌ってる。
そういう丁寧さが、聞いたときの心地よさと、
なんというか”この人の真髄に触れてしまってるんじゃないか”という生々しさを感じた。
いつもの歌声を、変に加工することもなく、あの声のままちゃんと届いてきたことに安心。

ゆうせい君のピアノもほんとに心地よい。
もちろん「おれだったらこう弾くなぁ」という、対表現者としての違いはあるけど、
無駄に弾きすぎない、過度な主張はしないけどしっかり色は出す、
っていう、いい支え方をしてる。歌の。

当然のことながら、嫉妬はします。
おれのピアノでこういうものを作れればよかったな、っていう。
(それを思った自分、というのも面白い発見ではあったけどね)。

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『Space and I』は、彼女が数年来思いを寄せている”宇宙開発事業”を見つめて。
最初にできて、いろんなところで演奏してた『ビールと君』は、
アップテンポの陽気な雰囲気ながら、実は友人との別れを見てるもの。
元のタイトル『#33ebff』から色味変更した『#00ffff』は、
訪問者として与論の光景を見たもの。
これらが「自分が見て聞いて感じたことだけを自分の歌にすることにした」という彼女の歌。
多分それだけに、先述の「生々しさ」みたいなものに、触れているような気になるんだろうな。

ゆうせい君の情緒のあるピアノ曲に彼女が言葉を乗せた『ぽつねん』も、
多分その音から彼女が見た世界。

アルバムの終わりには、彼女が人前で歌うようになってからずっと歌い続けてる、
Carole Kingの『So Far Away』のカバーを、ゆうせい君のアレンジで。

ちなみにこのジャケットは、こちらの美容室のHPを見て、「私の顔を描いてください」と髪を切りに行って頼んだそうだ。どんな絵になるかは「すべて任せます」と。そしてこの絵が仕上がってきたのだ、と。
壁に飾ってみたくなるジャケット。
というか、そんな風に飾っておきたくなる音楽、だな。このアルバム。

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今までもずっと「曲は作ろうと思ってて、欠片はたくさんあるんです。それがまとまらない。」
と言ってたナオさん。
多作でなくてもかまわないので、どうぞこの先も曲を作り続けてくださいませ。

で、そのうちぼくとも音源作ってください。

とりあえず、事態が落ち着いたら『#00ffff』聞いてもらうために、
与論ライブツアー、行きましょう。
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