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永遠に奪われた話 <後編> [音楽]

KANさんのライブに初めて行ったのは、実はわりと遅くて1997年のツアー。
ライブビデオ「DECIMO」という作品になってるライブね。
それまでも毎回おもしろいライブをしてる、というのは雑誌でも見てたし、
この時点ではライブビデオも出てたのを買ってたし。
そんな中で、この時のツアーは「初のノーギャグツアー」という触れ込みで。
クラシックバイオリニストをメンバーに加えてのライブ、ということで。
(そのバイオリニストが後の奥様)。
このライブの時に聞いた、当時の新曲『Songwriter』
シングルで聞いていい歌だなあ、と思ってたのだけど、
実際に生でこの曲を聴いた時に、ぼくはあるポイントで何かスイッチが入っちゃったのか、
どうにもこうにも涙が止まらなくなっちゃって。
もはや嗚咽の域で、となりで見てる当時の彼女にそれがバレないように必死だった。
ほんと、自分でも「どうしたおれ?」と思うくらい。

後に、別のライブで『Songwriter』を聴いた時。
歌い始めたときに「そういえばあの時、すごい号泣したっけなぁ」なんてのん気に聴いてたら、
同じところでまた、スイッチ押されて号泣してしまった。
ああ、おれこの曲、来ちゃうんだ、と。
多分、なにか自分と思い切り重ねてしまってるんだろうね。
・・・今、これを書きながらKANさん聴いてたら、見事にこのタイミングで『Songwriter』流れてきた。
聞きながら、あ、今日は大丈夫かな?
と思ってたら、ダメだった、涙出てきた。
これ、ほんとにどのくらいダメか、っていうと、
歌詞を口に出して読んだだけで、のどが詰まって声が出なくなるレベルでダメ。
自分で音楽作っていく以上、ずっとこの気持ちを重ねちゃって泣くんだろうな。

ちなみに「ソングライター」としてのぼく(なんか偉そうだけど)が、
最終的に目指してる最高峰の曲が『東京ライフ』
あの曲を作れる領域に、自分がいきたいというのがある時期からの目標。
数年前、音楽仲間であるシンガーソングライターの宇津雄一氏(現・才雅氏)のラジオ番組で、
「人生の最後に聞きたい曲」を聞かれた時に、迷わず『東京ライフ』と答えた。
それだけ、大きな存在。

ちなみに、内容的にはぼくの『flow』という曲が『東京ライフ』の要素を多分に持ってて、
『raison d’être』が『Songwriter』に匹敵するな、ということも後から気がついた。
やっぱり、大事なところでしっかり影響されてる。

——
昨年の10月。
毎月出演させてもらってる六本木Real Diva’sからの配信番組に、ゲストにKANさんが来るという。
KANさんのバックバンドのドラムでもある清水さんがホストの番組なので、
十分にあり得る話なんだけど、
いつもの馴染みの店にKANさんがいらっしゃる、というそのことだけでぼくもなぜか浮き足立つ感覚。
配信のみの番組なので観覧客としては入れないのだけど、
これ、なんとかお願いしたら隅の方にでも入らせてもらえないものかなぁ、
なんて都合のいいことを考えて、店長に泣きのお願いをしようか、ということを本気で考えた。
のだが。
なんと同日、系列店であるケネディハウスでぼく自身も出番があって、どうにもかなわぬ、と。
正直この日のライブの本番は、六本木での状況が気になってしかたなかった。
帰ってから時間差で配信を見たのだけど、KANさんは配信でも、六本木でも、KANさんだったなぁ、と。

そしてこの時、ぼく自身がKANさんとものすごく近いところまで来られてるけれども、
それでもまだまだ、「お前はまだ憧れの人には、そう簡単に直接会えるほどではないんだぞ」と、
そう言われてる気がした。
もっと研鑽を積んで、ちゃんと同じ土俵に上がれてから、来るべき時にようやく会える日が来る、と。
その日を目指してがんばりなさい、と言われたような気がしたのだった。

そして、その機会は永遠に奪われてしまったのだ。
あの日、自分の仕事を終了した後に、六本木に駆けつけて無理矢理にでもご挨拶させてもらうべきだったのか。
そうしてたら、何か変わっただろうか。

・・・・・・。

ただひとつ。
この日、気持ち悪がられても構わない、と、Real Diva’sの廣瀬店長に、
ぼくがどれだけKANさんの音楽を好きで聴いているか、
影響されているか、ということを文面にして伝えてもらった。
そして、そのことについてKANさんからお返事をいただいた。

 僕をきっかけに、同じ音楽業界で活躍される方がいらっしゃる事は
 実に喜ばしく思います。
 今後とも「お互い」音楽業界を盛り上げてまいりましょう! 

この言葉を胸において、この先ぼくは進んでまいります。
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