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視点の違いがわかった夜 [音楽活動 -もろもろ-]

28日の「キタムラナオコ 大貫妙子をうたう vol.2」
大好評のうちに終了しました。
集まってくださったたくさんのみなさま、本当にありがとうございました!

今回のライブ、当初は別のピアニストさんが予定されててね。
ぼくは事前にそれを聞いてたので「聞きに行くよー」て言ってたんだけど、
そのピアニストさんが都合で出られなくなっちゃって、前回に続いてぼくが引き受けることに。

で、その時点ですでにあらかたの選曲はできてたようで。
ぼくが担当することになって、半分くらいは曲の入れ替えをしたかな?
元のピアニストさんの思いの強い曲をはずして、かわりにぼくが選曲したりして。

ナオさんとしては、この企画をするにあたって初期のアルバムからじっくり聞き直しをして。
そこで「再発見」してしまった曲を、取り上げずにいられない、となってるようで。
2回目となる今回は、4-6枚目である「Aventure」「ROMANTIQUE」「Cliché」といったあたりの曲が多めに選ばれてるね。
ぼくは、わりとそれ以降の曲を選んだかな。あまり意図的にではないけど。

加えて今回は、裏テーマとして「サカモト追悼」の意味も持たせたい、ということで。
坂本龍一編曲のものを多めに選んだ、ということもあったかも。

<キタムラナオコ 大貫妙子をうたう vol.2>
1. 夏に恋する女たち
2. ディケイド・ナイト
3. アヴァンチュリエール
4. テルミネ
5. 最後の日付
6. 色彩都市

7. メトロポリタン美術館
8. スナップショット
9. はるかなHOME TOWN
10. 鉄道員
11. 宇宙みつけた

12(en). 風の道

うた:キタムラナオコ
ピアノ:中田征毅

——
最初と最後以外は、基本的には年代順に並べる形でね。
入口はわかりやすく、代表曲の1つ『夏に恋する女たち』を、
ライブバージョンの、シャッフル感を出したリズムで。
その後に続く1stステージは、かなりマニアックな選曲、かな。
すべてナオコ選曲。
『ディケイド・ナイト』はぼくもおもしろいな、と思って聞いてた曲。
ナオさんにとっては「シティポップス感」があるということで。
この歌詞は、こういう時代を過ごした人にしか書けないよなぁ。
『アヴァンチュリエール』はベスト盤なんかにも入ってるので、わりと知られてる曲かな。
「冒険者たち」という映画を意識して書かれた曲のようで、スケールの大きな歌。
「さぁ、船出しよう」っていう歌だね。
『テルミネ』は、ぼくはまったくノーチェックだった曲。
ヨーロッパの大きな駅、という背景がすごくよく見えてくる1曲。
ピアノの伴奏としては、1つ前の『アヴァンチュリエール』と拍子とテンポ感が同じなので、
違いを出すのがちょっと難しかったな。
この辺りの時代の曲は、大貫さんの歌い方も割と奔放な歌い方で、しかもキーもかなり高め。
ナオさんも普段とは全然違う歌い方をためして、ちょっと大変そうだったね。

『最後の日付』も、あまりぼく自身はなじみの薄い曲だったのだけど、
一聴して「この曲は今回はずせないな」と思ったね。
最初のリハーサルでこの曲を弾いた時に、この間奏部分の進行で、ふと坂本龍一の曲がよぎってね。
ナオさんが「この曲には、演奏にYMOが3人とも入ってる」と言ったこともふと思い出し、
「では、おれはこの曲で”サカモト追悼”をしよう」と決めて。
ナオさんには驚かせちゃって申し訳ないかもしれないけど、
リハーサルで一度やると歌に身構えてしまいそうだし、と思って、本番一発だけ、
間奏に坂本龍一の『aqua』をはめ込み、
さらにイントロとアウトロに『BEHIND THE MASK』のコード展開を盛り込み。
エンディング4小節で種明かしのように『BEHIND THE MASK』のフレーズを鳴らす、というね。
『aqua』の部分を弾いてる間はあえてナオさんの顔は見ずに。
間奏から歌に戻るあたりでふと顔を上げたら笑ってこっちを見てたね。
歌い終わったときに「もう泣きそうになりましたよ。」と。
間奏に坂本龍一の曲を挟むことによって、その前後の歌詞の意味合いが大きく変わってくるからね。
ほんと、仕掛けておきながら「よくこらえてくださった」と。

1st最後は、ちょっと気分も明るく『色彩都市』で軽やかに終わらせて休憩へ。

2ndでは、リクエストのあった『メトロポリタン美術館』からスタート。
この曲は、以前にも2人でやったことがあったね。そしてやっぱり楽しい曲だよね。
続く『スナップショット』はぼくが「この曲やりたい」と選曲したもの。
大貫さんの系譜の中でもエアポケットになってる(気がしてる)「A Slice of Life」の収録曲。
原曲ではユキヒロさんのドラムが非常に心地よくて。音の展開も小気味よくて。
ちなみにこの曲はナオさんとしてはノーチェックだった、と。まあそうだろうな。
続いての『はるかなHOME TOWN』もぼくの選曲。
これは以前、ギターのたくちゃんと3人でのライブの時に提案してやった曲で、
ナオさんのライブとしては2度目の登場。
この曲はほんとに、弾いてても泣きそうになるんだよね。ハーモニーもメロディも。
その要素だけでも泣けるのに歌詞もステキすぎて。

『鉄道員』を選曲したのはナオさん。
これはもう、完全に”サカモト追悼”としての選曲なわけだけど。
それでもぼくにはこの選曲は非常に意外だったね。
そして、ナオさんとぼくとでは「大貫妙子トリビュート」の意味合いが全然違うこと、
そもそもの視点が全然違うんだ、ということがはっきりわかったね。
この曲は、大貫さんが坂本龍一と「UTAU」というプロジェクトの中で取り上げた曲。
坂本龍一の作曲で、作詞は奥田民生。
坂本龍一の楽曲として大貫さんはいわば「カバー」する形でこれを歌ったわけだよね。
ぼくは作家性を重要視する傾向があるので、作詞も作曲もしていないこの曲は、
ぼくの中では「トリビュート」の土俵にはあがってこないんだよね。
だけど、歌い手キタムラナオコとしては、大貫さんが歌った曲は、
作者がだれであろうと、それは歌い手大貫妙子の楽曲として、選曲対象になる、と。
逆を言えば、前回ぼくが選曲した『月のオペラ』など、提供曲はナオさんの選曲対象にはあがらない。
おもしろいもんだなぁ、と思った次第。

本編の締めは、これまたぼくの提案で『宇宙(コスモス)みつけた』
ぼくが小学校の頃にラジオでたまたま聞いて、大貫さんに興味を持って行ったきっかけの曲。
ナオさんはこの曲のアレンジが、今回のリストの中でいちばんサカモトっぽい、と感じたようで、
「この曲を最後にしよう」と。
「この曲楽しくて、家で踊りながらひとりでずっと歌ってる」とのこと。
なんか、わからなくもないな、その感じ。
ちなみにぼくのこの日は衣装は、『宇宙みつけた』のシングルジャケットの配色イメージ。
それにしても、坂本さん特有の「4度で動くフレーズ」は超絶むずかしかった。
本番も、追いつけなかったなぁ。締めの曲だったのに。

アンコール、どうする? 用意しておく?
と、最後のリハーサルになってから話して、一応考えておこうか、と。
ありがたいことに声をいただいたので、その候補から『風の道』を。
まあ、この日のセットリストから見たら、『風の道』がなによりアンコールには最適かな。

——
そんな感じで、お客様からも、お店の方からも、
「ぜひこの企画、続けてください」という声をいただいて。
大貫妙子を知っていても、時期的な偏りがあるという方もたくさんいらっしゃってね。
そういう方が「ほかの時期にはこんな曲もあるんだ」ということを知って、
あらためてその世界を楽しんでもらえる、という、そんな企画なんだな、って。
やりながら、感想をいただきながらそんなことに気づいていってる感じ。
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引き続き、この企画やります。
3回目はどんな曲を持ってこようか、それを考えるのがまた楽しいね。
少しでも興味持っていただけたら、どうぞ聞きにいらしてみてください。
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